【9月11日 AFP】サウジアラビア当局は、女性の同僚と一緒に朝食をとった動画が拡散したエジプト人の男性ホテル従業員を逮捕した。イスラム教スンニ派(Sunni)の中でも特に戒律が厳しいワッハーブ派を奉じるサウジでは、職場での男女分離が法令で定められており、動画にはソーシャルメディアで激しい怒りの声が巻き起こっていた。

 動画には、男性と女性が同じテーブルで食事をする様子が映っている。目を除いて顔を隠す「ニカブ」を着用した女性がカメラに向かって手を振り、手にした食べ物を男性に食べさせている場面もある。動画はこの男性自身が撮影した。

 動画がインターネット上に出回ると、極めて保守的なサウジアラビア社会では批判の嵐になった。

 そうした中、サウジ労働省は9日、「ジッダ(Jeddah)でいかがわしい動画に出ていた外国人在留者を逮捕した」と発表した。

 地元メディアは、男性はエジプト国籍と伝えている。

 労働省によると、ホテルの経営者も、職場での男女分離を定めた法令順守を怠ったとして喚問された。

 当局は、国内の外国人在留者に「サウジ社会の価値観と伝統」を尊重することも求めた。

 サウジでは、ムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子が広範な自由化を推進。数十年間禁止されてきた女性による車の運転、映画館の営業などを解禁したほか、男女が一緒にコンサートを鑑賞することも一部認めた。

 今回、国民から批判が殺到したことは、皇太子が進める近代化が一筋縄ではいかないことを示した形だ。(c)AFP