「誰がやってもいけない」、ナブラチロワ氏がセレーナの激高に言及
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【9月11日 AFP】四大大会(グランドスラム)通算18勝を誇る女子テニスの元王者マルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏が、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)女子シングルス決勝でのセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)に対する罰則について言及し、性別によって二重基準があることを認めながらも、同選手が感情を爆発させたのは間違っていたという認識を示した。
チェコ出身で米国籍を持つ61歳のナブラチロワ氏は、問題の試合の第2セットにセレーナがカルロス・ラモス(Carlos Ramos)主審を「盗人」呼ばわりして勝負を左右するゲーム・ペナルティーを受けたことについて、より高い基準が検討される必要があると主張。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の記事で、「自分たちが免れることができるはずと考えていることによって、自分を評価してはならない。実際のところ、これはコート上で誰がやってもいけない振る舞いである」と自身の見解を述べた。
大坂なおみ(Naomi Osaka)に敗れてグランドスラムのシングルス史上最多記録に並ぶ通算24勝目を逃したセレーナは、自身がペナルティーを科された問題について、男子であればもっと悪質な暴言を吐いても同様の罰則を受けることはないと主張した。
「セレーナ・ウィリアムスの主張は一部正しい。女子が悪い振る舞いをすると罰せられるという大きな二重基準が存在するのは、テニス界に限ったことではない。ただ、彼女の反論については部分的に間違いもある。『男子なら許されることは、女子もそうあるべき』という基準を当てはめるのは適切な考えとは言えない」
「それよりも、私たちが自分自身に問いかけるべきなのは、私たちのスポーツに誇りを示し、対戦相手を敬うための正しい振る舞いとは何か?ということ」
当日の試合でセレーナは、スタンド席にいたコーチのパトリック・ムラトグルー(Patrick Mouratoglou)氏から指導を受けたとして警告を受けた。同氏もコーチングを認めているが、このコードバイオレーションに不満をあらわにしたセレーナは、ラモス主審に何の合図も受け取っていないと主張。その後、ラケットを破壊してポイント・ペナルティーを科されると、同主審に激しい暴言を浴びせた。
ナブラチロワ氏の分析では、「ラモス氏は実際、ポイント・ペナルティーを科すしか選択肢はなかった」、「ミス・ウィリアムスは、このときを境にまさに手に負えなくなった。彼女とラモス氏は、互いに話がかみ合わなくなった」、「不正をしていないという彼女の主張は、完全に信じられるものであっても、それはまた別の問題。一方、主審があの時点で行ったコールは、慎重さが欠けていた」とされている。
そして、セレーナがラモス主審を「盗人」呼ばわりしたことが事態をエスカレートさせ、致命的なゲーム・ペナルティーにつながった。
「ミス・ウィリアムスが男子選手だったら、審判を泥棒呼ばわりしてもおとがめなしだったかどうかは、知る由もないし議論の余地がある。しかし、この点にばかり焦点を当てるのは的外れなこと。仮に同様の問題において、男子には違う尺度が適用されているとすれば、それは完全に精査が必要であり、改善されるべき問題だ」 (c)AFP