【9月10日 AFP】ロシアで統一地方選挙が行われた9日、国民の反発が強い年金改革案に対する抗議デモが全国各地で行われ、デモの参加者800人以上が逮捕される事態に発展した。

 ロシア国内での政治デモ参加者の拘束状況を監視する非政府組織(NGO)「OVDインフォ(OVD-Info)」によると、主にサンクトペテルブルク(Saint Petersburg)とウラル地方(Urals)のエカテリンブルク(Ekaterinburg)で、現在拘束されている野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏が呼び掛けたデモに参加した少なくとも839人が警察に逮捕された。

 AFPの現地特派員によると、モスクワ市中心部では少なくとも2000人がデモ行進し、参加者が「(ウラジーミル・)プーチン(Vladimir Putin)は泥棒だ」「皇帝のように追放しよう」などのスローガンを叫んだ。

 デモに参加した財務関連の職に就く女性(44)は「現政権は財源をシリアやウクライナにいる軍や、大統領の友人らのために散財し、年金受給者のためには全く使っていない」と批判。小学校教師の女性(21)も年金改革案は「限度を超えている。私たちは我慢の限界に達している」と訴えた。

 しかし一方で、同日行われたモスクワ市長選では、現政権の支持を得ている現職市長の勝利が確実とみられている。

 年金支給開始年齢を女性は60歳に、男性は63歳に引き上げるとしている年金改革案は、ロシアでは珍しく激しい世論の反発を招き、プーチン大統領の支持率が著しく低下している。

 ロシアの年金支給開始年齢の引き上げは約90年ぶりで、退職年齢を欧米諸国の基準に合わせる試みだが、専門家らはロシアは平均余命が短く、改革案の通りに支給年齢を引き上げた場合、年金を受け取れずに亡くなる人が多くなると予想している。(c)AFP/Romain COLAS with Marina KORENEVA