ベネチア映画祭金獅子賞キュアロン監督 「初の視点」で撮った私的作品
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【9月10日 AFP】第75回ベネチア国際映画祭(Venice International Film Festival)は8日、メキシコ人のアルフォンソ・キュアロン(Alfonso Cuaron)監督(56)による動画配信大手ネットフリックス(Netflix)作品『Roma(原題)』を最高賞の金獅子(Golden Lion)賞に選出して閉幕した。
同作は1971年のメキシコの首都メキシコ市を舞台に、ある中流階級の家庭でメイドとして働く若い先住民の女性を描いた非常にエモーショナルな内容で、キュアロン監督にとって最も私的で、過去最高傑作と評価されている。
制作に当たり、監督は自身が幼少期を過ごした家を再現。中でも最も印象的なのは、本作で女優デビューを果たしたヤリツァ・アパリシオ(Yalitza Aparicio)さんの「光る」演技だ。アパリシオさんは、少年時代の同監督の世話をしたミシュテカ人の血を引く住み込みのメイド、クレオを演じている。
キュアロン監督はAFPの取材にこう語った。「クレオは、私のベビーシッターを基にしている。私たちは皆、家族だった」「だが、自分にとって大好きな人と育つと、相手のアイデンティティーについて互いに話をすることはしないものだ。だから本作では、私はあえて先住民の血を引く下層階級のこの女性を自分だと思うようにした。そうした視点は、これまでに一度も持ったことはない」(c)AFP/Fiachra GIBBONS