【9月7日 AFP】南米ベネズエラの国会は5日、8月の物価上昇率が月別で200%を超え、年率では20万%に達したと発表した。野党が多数派を占める国会は昨年、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が発足させた制憲議会によって立法権を剥奪され実権を失っているが、議員らは無給のまま会期を延長して出席を続けている。

 ベネズエラ中央銀行で幹部職を務めた経験を持つ野党連合・民主統一会議(MUD)のホセ・ゲラ(Jose Guerra)副党首がツイッター(Twitter)に行った投稿によると、月別インフレ率は2か月前に初めて100%を上回ったばかり。

 物価は年初来で3万5000%近く上昇し、2017年8月31日からの年率では20万%に達したという。

 国際通貨基金(IMF)はベネズエラのインフレ率について、年末までに100万%に達すると予測している。

 ベネズエラでは中銀が2016年2月をもってマクロ経済統計の公表を中止したため、国会が昨年から発表を代行している。

 マドゥロ大統領は昨年、政治工作により、新憲法制定のための制憲議会を発足させた。マドゥロ政権の支持者で構成され最高裁判所の承認を得た制憲議会は、野党が多数派を占める国会から立法権を剥奪。国会は実権を奪われた状態にある。

 原油生産に依存していたベネズエラ経済は、2014年に原油価格が急落したことを受け、4年連続の景気後退(リセッション)にあえいでいる。専門家は、政府が原油価格の急落に対処する際、見境なく紙幣を増刷したことが経済危機の原因だと指摘している。

 マドゥロ大統領は8月、通貨単位を10万分の1に切り下げるデノミネーション(通貨呼称単位の変更)や3400%(34倍)の賃上げを打ち出したが、ハイパーインフレと食料・医薬品の深刻な不足、公共サービスの破綻を受けて、多くの国民が周辺国に流出している。(c)AFP