【9月5日 AFP】米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージランドの5か国から成る秘密情報共有機構「ファイブアイズ(Five Eyes)」が、暗号化された情報や装置へのアクセスを可能にする「バックドア」といわれる接続経路を提供するよう技術系企業に改めて呼び掛けたことを受け、プライバシー保護団体や人権団体から懸念の声が上がっている。

 5か国は先週末、暗号化され捜査令状があっても警察当局が入手できない可能性のある情報にアクセスできる方法を提供するよう「産業パートナー」に求める声明を発表した。

 オーストラリア内務省を通じて発表された5か国の声明は、「個人・企業・政府が情報を保護するために使っている暗号化と同じ手法の多くを、児童を狙う性犯罪者・テロリスト・犯罪組織などが捜査の妨害や行動の隠蔽(いんぺい)、訴追を免れることを目的に使用している」と指摘。企業側が自発的に協力せず「(5か国の)市民を守るために必要な情報への合法的なアクセスが今後も阻害されるならば、われわれは技術的、強制的、立法的な手段に訴えることもあり得る」としている。

 この声明を受けて以前からくすぶっていた暗号化をめぐる議論が再燃するとの懸念が高まっている。一部の警察当局が暗号化によって犯罪行為が隠蔽されていると主張する一方、技術系企業やプライバシー保護活動家らは暗号化を弱めるとすべての利用者のセキュリティーが害される恐れがあると主張している。

 米首都ワシントンを拠点とするデジタルの権利擁護団体「民主主義・技術センター(CDT)」のグレッグ・ノジェイム(Greg Nojeim)氏は、「これらの国々がプロバイダーにバックドアを作るよう強要すると、政府だけでなくハッカーや犯罪者などの悪人もバックドアを使う危険性が出てくる」と指摘した。(c)AFP/Rob Lever