【9月5日 AFP】国連(UN)加盟国は4日、公海に関する最終的な規制を図る条約の制定に向け、2年間の政府間交渉を開始した。公海には膨大な量の貴重な動植物のDNAが存在している。

 4日朝、米ニューヨーク(New York)のイーストリバー(East River)には、環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)の小型ボート2隻が「世界の海に国際条約を!」「国際条約に値する私たちの海」などと書かれたプラカードを掲げた。

 グリーンピースの海洋生物学者サンドラ・シェトナー(Sandra Schoettner)氏は、「急務となっているのは、海洋保護区の世界的なネットワークの構築を可能にする、強い効力を持つ海洋条約の策定」と話す。

 条約策定に向けて、今後2年間で個別会合が4回開かれる予定。会期はそれぞれ2週間となっている。

 議題の中心となるのは、公海の領域をどのように規制するべきかだ。公海は、海岸線から約12海里(22キロ)離れた位置から始まる、国家の管轄権が及ばない水域として定義される。公海は地球の表面積の約46%を占める。

 公海条約は、海洋保護区の設定を可能にする可能性が高く、環境研究の向上を狙いとする。

 その中でカギとなるのは、貴重な海洋遺伝資源を共有するべきかどうか、共有する場合はどのようにするべきかという問題だ。公海に存在する動植物のDNAをめぐっては、化粧品の改良から作物生産量の向上まで、あらゆることを追求する企業が特許を取得している。

 海洋バイオテクノロジーの世界市場規模は2025年までに64億ドル(約7100億円)に達すると予想されている。

 1982年に国連は国連海洋法条約(United Nations Convention on the Law of the Sea)を採択したが、公海については制約がない状態のままとした。

 国連海洋法条約には「すべての国が公海の自由(航行の自由、上空飛行の自由、漁獲の自由、海洋の科学的調査の自由等)を享受する」と規定されている。国連海洋法条約は1994年に発効したが、米国は参加していない。

 以降、航路は大幅に拡大し、公海の深海資源の漁獲や採掘に対する国際的な興味がますます高まった。(c)AFP