ナチス略奪の絵画、ユダヤ系画商の相続人に返還 スウェーデン近代美術館
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【9月5日 AFP】スウェーデンのストックホルム近代美術館(Modern Museet)は4日、ナチス・ドイツに略奪されたオーストリア人美術作家オスカー・ココシュカ(Oskar Kokoschka)による絵画作品を、元の所有者であるユダヤ系画商の相続人に返還したと明らかにした。
ココシュカによる肖像画「ジョゼフ・モンテスキュー・フェザンサック侯爵(Marquis Joseph de Montesquiou-Fezensac)」(1910)は当時、美術収集家として知られていたアルフレート・フレヒトハイム(Alfred Flechtheim)氏が所有していた。同氏は1933年、ナチス・ドイツからの迫害を受けて国外へと逃れた。
それから翌年までに、ナチスは画廊と美術品を没収。フレヒトハイム氏に雇われていた従業員がココシュカの肖像画を売却した。「この従業員は早くからナチ党に入っていて、前の雇用主が置かれた悲惨な状況を利用した」と、近代美術館はその背景を説明した。
ココシュカの絵画は、米国に住むフレヒトハイム氏の相続人であるマイケル・ハルトン(Michael Hulton)氏に送られた。
近代美術館の館長はAFPの取材に、「ジェノサイド(大量虐殺)が行われていた時代なので、領収書や請求書はない」と述べた。
近代美術館で展示される以前、作品はスウェーデン国立美術館(Nationalmuseum)にあった。ただ、最初に国立美術館に作品が売られた経緯などについては不明のままだという。(c)AFP