運動不足の成人、世界で14億人余 WHO「病気の主要リスク」と警鐘
このニュースをシェア
【9月5日 AFP】世界保健機関(WHO)は5日、運動不足が原因で命に関わる病気にかかるリスクが高まっている成人が世界で14億人余りに上るとの研究結果を発表した。世界的に運動量は20年近くにわたってほとんど変わっておらず、改善を促している。
英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された論文によると、世界の女性の3分の1、男性の4分の1が運動不足を原因とする心臓病や糖尿病、がんなど、命にかかわる病気にかかるリスクにさらされている。各国が豊かになり、快適な座りがちのライフスタイルが広がっていることが背景にある。
研究では、世界168か国・地域の190万人を対象に2016年の運動量を追跡調査。その結果、世界の成人の4人に1人に当たる14億人余りが運動不足であることが判明した。WHOは論文の中で「運動不足は非伝染性疾病の主要な危険因子であり、心の健康や生活の質にも悪影響を及ぼす」と警鐘を鳴らしている。
各国で公衆衛生当局などが運動のメリットを訴えるさまざまな取り組みをしているにもかかわらず、2001年以降、運動量に改善が見られないことも分かった。
WHOは成人に対して、早歩きや水泳、軽いサイクリングなどの「中程度の運動」を少なくとも週150分、またはランニングやチームスポーツなどの「激しい運動」を少なくとも週75分行うことを推奨している。
研究ではこのほか、貧困国と富裕国、男性と女性の間で運動量に著しい違いがあることなど、いくつかの懸念される傾向も浮き彫りになった。
女性が男性よりも運動不足とされる傾向は世界のほぼ全ての国で見られたが、特に顕著だったのはバングラデシュ、エリトリア、インド、イラク、フィリピンだった。こうした国々では、女性は家で育児や家事をするべきとの考えが根強く、運動の時間が全く持てないことすらある。(c)AFP/Patrick GALEY