【9月4日 AFP】ミャンマーの裁判所が3日、イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の難民危機を取材していたロイター通信(Reuters)の記者2人に対し、国家機密法違反の罪で禁錮7年の有罪判決を言い渡したことを受けて、国際社会から非難が噴出した。

 禁錮刑に処されたのは、ミャンマー国籍のワ・ロン(Wa Lone)記者(32)とチョー・ソウ・ウー(Kyaw Soe Oo)記者(28)。両記者はいずれも、英植民地時代に制定された国家機密法に違反した罪で起訴されていた。

 国際社会からの非難が集中した今回の裁判には、ミャンマー軍がラカイン(Rakhine)州で行ったロヒンギャ弾圧に関する報道を封じ込めようとする政府の狙いがあるとみられている。国連(UN)の調査団は先週、ミャンマー国軍の総司令官がロヒンギャに対する「ジェノサイド(大量虐殺)」を指揮したと非難する報告書を発表していた。

 国連や米国、欧州連合(EU)とその加盟国の英仏は今回の判決を強く批判し、両記者の釈放を改めて要求。各人権団体からも批判が相次いだ。

 ミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)国連人権高等弁務官は「私は衝撃を受けた。裁判は茶番だった」と断じ、「ミャンマーのあらゆるジャーナリストに対し、恐れず仕事をすることができないどころか、自粛するか訴追される危険を冒すかという二択を迫られるというメッセージを送るものだ」と指摘した。

 在ヤンゴンの米国大使館は声明を出し、今回の問題は「ミャンマーにおける法の支配と司法の独立をめぐる深刻な懸念」を招くと指摘。「両記者に対する有罪判決はミャンマー政府が掲げていた民主的な自由を拡大するという目標からの大幅な後退」だと批判した。

 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」は、今回の「いかさまの裁判」とその判決を「ミャンマーの報道の自由にとって暗黒の日」と評した。(c)AFP