マケイン氏の追悼式典、106歳の母親が参列 終始気丈に振る舞う
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【9月1日 AFP】8月25日に死去したジョン・マケイン(John McCain)米上院議員の追悼式典が31日、首都ワシントンの連邦議会議事堂で開かれた。同氏の死を悼む参列者の中には、マケイン氏の波乱に満ちた人生を共に生き抜いてきた女性の姿もあった――106歳になる母親のロバータ(Roberta McCain)さんだ。
脳腫瘍(のうしゅよう)と診断され、約1年にわたる闘病の末に81歳で死去したマケイン氏は、ベトナム戦争(Vietnam War)中に戦闘機を撃墜され、5年にわたって捕虜となった。それから半世紀余りを経て行われた同氏の追悼式典で、ロバータさんは毅然(きぜん)としたたたずまいを見せた。
水玉模様があしらわれたシースルーのブラウスを羽織り、車いすに乗って連邦議会議事堂の円形広間(ロタンダ)に現れたロバータさんは、終始気丈さを保ち、涙を流す孫娘のメーガン(Meghan McCain)さんを慰め、手を握ったり言葉をかけたりした。
マケイン氏を追悼する一連の行事は今週、第2の故郷であるアリゾナ州で始まっていたが、ロバータさんの出席は今回が初めてとなった。
1時間に及ぶ式典では、マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領が同氏を「米国の愛国者」と、同僚議員らは「国の宝」と称賛。ようやくひつぎのそばで別れの段を迎えると、ロバータさんは厳かに十字を切り、粛々と会場を後にした。
米海軍の豪胆な戦闘機パイロットだったマケイン氏は、幾度となく死線をくぐり抜けてきた。だが、ロバータさんは息子の死を覚悟したこともあった。
1967年、英ロンドンに滞在していたロバータさんと夫は、駐英イラン大使公邸で行われるパーティーに出席するための支度をしていた。そこに電話がかかってきて、息子の「ジョニー」が乗る戦闘機がベトナムのハノイ上空で撃墜され、緊急脱出した形跡もないと知らされたのだ。
だが翌日になって、マケイン氏が捕虜になったとの知らせが届いた。
ロバータさんは後に、マケイン氏が大統領選に出馬していた2008年のインタビューで「信じてもらえないかもしれませんが、私のこれまでの人生で最高のニュースでした」と語っていた。
息子がベトナムで5年超にわたり捕虜になっていた間、どうやって耐え抜いたのか――ロバータさんはよくこんな質問を受けたという。
ロバータさんはこの時の心境について、「夫が自分で仕事を選んだように、ジョニーも自分で仕事を選びました」、「高い橋の上で働く人は、事故が起きても文句を言えません。自分でその仕事を選んだのですから」と米タイム(Time)誌に語っていた。(c)AFP/Michael Mathes