【9月9日 AFP】(記事更新)全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)は8日、女子シングルス決勝が行われ、大会第20シードの大坂なおみ(Naomi Osaka)は6-2、6-4のストレート勝ちで第17シードのセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)を破り、日本勢として初めて四大大会(グランドスラム)を制覇した。

 この一戦でセレーナは、第2セットに自身の陣営からコーチングを受けたとして主審のカルロス・ラモス(Carlos Ramos)氏から警告され、激怒した。

 その後ラケットを破壊して2度目の規則違反となり、1ポイントを奪われたセレーナは感情が爆発。セレーナは涙ながらにラモス氏を「盗人」と批判し、謝罪を求めると、ラモス主審はゲーム・ペナルティーをセレーナに与え、大坂は5-3とリードを広げた。

 セレーナは次のゲームをキープした後、チェンジエンドの際にもラモス主審にも抗議を行ったが、大坂は見事に冷静さを保ち、次のサービスゲームをキープして母国にとって歴史的な勝利を手にした。

 迎えた表彰式では、セレーナを応援していた観客がアナウンサーにブーイングを浴びせ、今度は大坂が泣き出す場面があった。するとセレーナは、観客に対して若きチャンピオンへのリスペクトを呼びかけた。

「彼女は良いプレーをしました」と言って一呼吸置き気持ちを落ち着かせたセレーナは、「これが彼女にとって初めてのグランドスラム(のタイトル)です。みなさんの応援はうれしいですが、今を最高の瞬間にしましょう。称賛されるべき人を称賛しましょう。ブーイングはもうやめにしましょう」と続けた。

 そして「おめでとう、ナオミ」と声をかけた。セレーナはその後、大坂は「素晴らしい」試合をしたと話している。母親として初めてのグランドスラムのタイトル獲得を目指したセレーナだが、マーガレット・コート(Margaret Court)氏に並ぶ史上最多24回目のグランドスラム優勝は、今回はお預けとなった。

 一方の大坂は、気持ちの整理がつかない様子で「みなさん、彼女を応援していたでしょうし、こんな終わり方になってごめんなさい」と話すと、「セレーナと全米オープンの決勝で対戦するのがずっと夢でした」と言ってセレーナの方を向き、「あなたとプレーできたことに心から感謝します。ありがとう」と告げた。

 大坂が第1セットを取って迎えた第2セットの第2ゲームで、セレーナはコーチングを受けたとしてラモス主審から警告を出された。「汚い手で勝とうなんて思わない。そんなことをするくらいなら負けを選ぶ」と違反を激しく否定したセレーナは、自身がゲームカウント2-1とリードした後のチェンジエンドの際にもラモス主審とコミュニケーションを取り、そこでいったん状況は落ち着いたかに見えた。

 そして続く第4ゲームは、大坂のサービスゲームをブレークして3-1。ところが次のゲームで自身のダブルフォールトなどのミスが絡んでブレークバックを許すと、セレーナは再び冷静さを失ってラケットを壊した。これで2回目の警告を取られたセレーナは1ポイントのペナルティーを受け、不利な状況で次の第6ゲームを始めることを余儀なくされた。

 セレーナは「コーチングは受けていない。ずるをしたことはこれまで一回もない。公正なプレーを心がけている」と強く主張したが、このゲームは大坂がラブゲームでキープ。さらに続くゲームでまたしてもブレークを許して3-4と逆転されたセレーナは、主審に「あなたは私の人格を否定している。二度と私の試合を裁かないで。このうそつき」と激しく怒りをぶつけて3回目の警告を受け、今度は1ゲームのペナルティーを取られた。

 これで試合が大坂の5-3のリードに変わると、続くゲームをセレーナがキープした後、最後は大坂が自身のゲームをしっかりものにして勝利を収めた。(c)AFP