【9月1日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)の主催者は31日、前日行われた男子シングルス2回戦で、審判席から下りてニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)を激励し、物議を醸した主審に対して「規定を逸脱した」と結論づけながらも、今後も大会での職務続行を認めた。

 大会主催者はコメント文を発表し、「全米オープンは、8月30日に行われたニック・キリオス対ピエール・ユーグ・エルベール(Pierre-Hugues Herbert、フランス)の試合中に、主審のモハメド・ライアニ(Mohamed Lahyani)氏が示した行為は規定を逸脱したと結論づけた」と述べた。

「ライアニ氏には今後審判を務める全試合において、適切に規定を順守するように指示した。同氏は2018年全米オープンで審判を続けていく。パフォーマンスについては、これからも評価の対象となる。それは、大会期間中における主審全員に対しても同様である」

 17番コートで行われた一戦でキリオスが第1セットを落とし、続く第2セットも0-3と劣勢を強いられて早くも諦めた様子を見せると、52歳のライアニ氏は審判席から下りて、プレーの精彩を欠いていた同選手に近づき観客を驚かせた。

 動画では同審判が「君を助けたい」、「こんなのは君らしくない。私には分かっている。君のテニスは最高だ」と話しているように聞こえており、ソーシャルメディアでは審判が片方の選手に肩入れしていると疑問の声が噴出した。

 この思いがけない激励を受けた後、キリオスは25ゲームのうち19ゲームをものにして4-6、7-6(8-6)、6-3、6-0で勝利を収め、通算5度の大会制覇を誇るフェデラーとの3回戦に駒を進めた。

 キリオスはライアニ氏の介入がパフォーマンスに影響することは皆無だったと主張したものの、選手をはじめコーチやファンからは、同審判が一線を越えたとの批判が相次いだ。ライアニ氏が31日に審判を割り当てられたのは、13番コートで行われた男子ダブルス2回戦の1試合のみとなった。(c)AFP/Dave JAMES