【8月30日 AFP】イタリア北部で29日、ベネチア国際映画祭(Venice International Film Festival)が開幕した。同映画祭ではここ数十年、女性監督の作品がコンペティション部門の最高賞である金獅子(Golden Lion)賞に1作しか選ばれておらず、今年のノミネート作品も女性監督が手掛けた作品は21作品中1作のみで、あまりにも男性寄りであると非難の声が寄せられている。

 ベネチア国際映画祭はアカデミー賞(Academy Awards)を占う前哨戦でもあり、今年はデミアン・チャゼル(Damien Chazelle)監督、コーエン兄弟(Coen Brothers)、アルフォンソ・キュアロン(Alfonso Cuaron)監督の新作のほか、米歌手レディー・ガガ(Lady Gaga)の映画デビュー作などが出品されている。

 ただ、今年のコンペティション部門にノミネートされた女性監督作品はオーストラリアの映画監督ジェニファー・ケント(Jennifer Kent)の作品『The Nightingale(英題)』のみで、フェミニストらは主催者側を非難している。昨年も同部門にノミネートされた女性監督作品は1作のみで、ドイツのマルガレーテ・フォン・トロッタ(Margarethe von Trotta)監督作『鉛の時代(Marianne and Juliane)』が1981年に受賞して以来、女性監督作品は金獅子賞を受賞していない。

 カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)やトロント国際映画祭(Toronto International Film Festival)、ロカルノ映画祭(Locarno Film Festival)といった映画祭が男女平等を宣言し、女性枠の導入への圧力が高まる中、ベネチア国際映画祭のディレクターを務めるアルベルト・バルベーラ(Alberto Barbera)氏は、女性枠を導入するくらいなら辞任すると明言していた。

 カンヌ国際映画祭と世界で最も重要な映画祭の座を争うベネチア国際映画祭だが、バルベーラ氏の態度は欧州の女性監督たちの非難の的となった。

 しかし今年ベネチア国際映画祭の審査委員長を務めるギレルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro)監督は、カンヌで女優や女性監督たちが立ち上げた映画界の男女平等を求める運動「50/50 by 2020」を支持すると表明。これを受けバルベーラ氏も29日、態度を著しく軟化させる姿勢を示している。(c)AFP/Fiachra GIBBONS