【8月30日 AFP】ゼイド・ラアド・アル・フセイン(Zeid Ra'ad Al Hussein)国連人権高等弁務官は29日、交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブック(Facebook)に対し、もっと先手を打つ形でヘイトスピーチ(憎悪表現)対策に取り組むよう求めた。フェイスブックをめぐっては、ミャンマーでイスラム教徒の少数民族ロヒンギャ(Rohingya)に対するヘイトスピーチの拡散に利用されていると批判の声が上がっていた。

 フェイスブックは27日、国連(UN)の調査でジェノサイド(大量虐殺)に関与した可能性が指摘されたミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)軍総司令官らミャンマー軍幹部らの利用禁止を決めている。

 ミャンマーでフェイスブックはニュースなど情報を知る主要なメディアとなっている半面、軍や強硬派の仏教徒らによって、ロヒンギャやその他の少数派に対するヘイトスピーチを拡散する手段としても使われてきた。

 ゼイド氏はジュネーブで記者団に「フェイスブックが主要メディアである国で人権状況の悪化が見られ、その役割に疑問が呈される」ようなケースはほかにも容易に想像できると指摘。その上で「フェイスブックはヘイトスピーチを抑えるためにどのような措置を取るかについて、先を見越して考えるべきだ」と語った。

 ゼイド氏はその一方で「過剰な規制にはまた別の危険が伴う」として、逆方向に振れ過ぎることにも警鐘を鳴らした。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がインターネットの検索結果が「不正に操作」されているとしてフェイスブックを含む大手IT企業を批判したことに言及し、フェイスブックの対応は政府の規制強化によってではなく「(国際)人権法」に従って規制されるべきだと訴えた。

 ヨルダン出身のゼイド氏は今月末で国連人権高等弁務官を退任する。後任には独裁政権下で拷問を受けた経験を持つチリのミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)前大統領が就く。(c)AFP/Agnès PEDRERO