コート上で着替えた女子選手に「性差別的」警告、全米OPが謝罪
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【8月30日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)を主催する全米テニス協会(USTA)は29日、前日行われた女子シングルスの試合中にコート上でシャツを交換したアリーゼ・コルネ(Alize Cornet、フランス)に対して警告を与えたのは間違っていたとして謝罪した。
28日の米ニューヨークは気温が38度まで上昇し、コルネとヨハンナ・ラーション(Johanna Larsson、スウェーデン)の一戦では、第2セットを終了した時点で10分間の休憩時間が設けられた。しかし、コートの外でウエアを着替えたコルネは、前後逆に着てしまったことに気がつくと、戻ってきてからコート上でシャツを交換し、その際に黒のスポーツブラが見えてしまった。
これに対してクリスチャン・ラスク(Christian Rask)主審は、コルネに対して規則違反を宣告。しかし、男子の選手は暑さをしのぐためにシャツの交換が自由とされているのに対し、コルネにコードバイオレーションを与えるのは性差別だとして、批判が巻き起こった。
これを受け、大会主催者はコメントを発表し、「すべての選手はコートサイドでウエアを交換することが許されており、これは規則違反とは見なされない」「コルネ選手について規則違反とした昨日の判断を申し訳なく思う。再発防止に向け、すでにポリシーの見直しを行った。幸い、コルネ選手に関しては警告にとどまり、さらなる罰則や罰金はなかった」と述べた。
数日前には、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)が今年の全仏オープンテニス(French Open 2018)で着用したウエアを今後は禁止するという方針を大会主催者が発表していたこともあり、今回の一件ではコルネに対するダブルスタンダード(二重基準)に激しい批判が集まった。
元男子世界ランキング1位のアンディ・マレー(Andy Murray、英国)の母ジュディ(Judy Murray)さんは「アリーゼ・コルネ選手は、10分間のヒートブレークからコートに戻ってきたが、新しいシャツを前後逆に着てしまった。コートの後方で着替えたのに、スポーツマンらしくない行為として規則違反を取られた…。男子はコート上でシャツを替えられるのに」とツイート。
オーストラリアの元選手であるケーシー・デラクア(Casey Dellacqua)氏もジュディさんのツイートに返信し、今回の決定は「ばかげている」と述べた。
女子テニス協会(WTA)は、コルネに対するコードバイオレーションについて「不公平」だとした上で、WTAではコート上での更衣に関するルールは設けていないと発表している。
一方のコルネ本人は、これだけ多くの怒りの声が集まったことに驚きながらも、USTAの謝罪を受けて満足しているとし、「彼らから私に謝罪するのは極めて妥当だと思う」とコメント。その上で、セレーナのウエアは「度が過ぎている」と話したフランステニス連盟(FFT)会長の発言の方が「性差別的」で今回の「1万倍ひどい」との見解を示している。(c)AFP/Dave JAMES