【8月29日 AFP】(更新)年金改革で国民から強い反発を受けているロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領(65)は29日、55歳から63歳に引き上げるとしていた女性の年金支給開始年齢を60歳に変更することなどを含む、当初の内容を和らげた改革案を発表した。自らの支持率低下を受けての変更とみられる。

 30分にわたって異例のテレビ演説に臨んだプーチン氏は「わが国での女性の待遇は特別であり、優しい」と述べるとともに、大家族の母親たちには、早期の引退を提案した。その一方、男性の年金支給開始年齢は当初案のまま、60歳から65歳へ引き上げられるとしている。

 今回の年金改革案に対しては、ロシアの世論が珍しく怒りを爆発させ、全国各地でここ数週間行われた抗議デモに数万人が参加していた。

 ただプーチン氏は、第2次世界大戦(World War II)による巨大な人的損失や1991年のソ連崩壊の後遺症により、ロシアには「人口動態に深刻な問題」がある以上、厳しい施策が必要だとも述べた。

 ロシアは世界の中でも支給開始年齢が最も低い国の一つだが、同国は平均余命も短いことから、改革案の通りに支給年齢を引き上げた場合、年金を受け取れずに亡くなる人が多くなると予想されている。

 プーチン大統領は過去に年金支給開始年齢は引き上げないと公約していた。国営世論調査会社VTsIOMによると、5月には80%だったプーチン氏の支持率は先月、64%に低下した。(c)AFP