【8月28日 CNS】中国民政部の統計によると、2017年末時点の中国の60歳以上の高齢者人口は2億4000万人を突破し、総人口の17.3%を占めている。高齢者一人を扶養するために、約4人の労働力が必要であることを明らかにしている。

 国民の急激な高齢化に伴い、介護分野へのプレッシャーも高まっている一方、介護サービスロボットも日々、進歩している。しかし、介護ロボットは本当に信頼に足る存在になり得るのだろうか。

 北京市でこのほど開催された世界ロボット大会(World Robot Conference)では、100社近いメーカーが研究・開発の成果を発表した。その中でも、介護とロボットを結びつけた「介護ロボット」は多くの注目を集めていた。

 台湾大学(National Taiwan University)の羅仁権(Luo Renquan)教授は、「『介護サービス型ロボット』は高齢者介護の問題解決につながり、今後は巨大な市場になるだろう。将来的には、『高齢者介護』と言えば介護ロボットに関する製品を連想することになるだろう」と話す。

■介護ロボットの応用能力もアップグレードが必要

 現在、介護ロボット分野には原型となるモデルが存在し、将来性もある。だが、現実的な面では、実用化に向けては改善する余地がまだ多くありそうだ。

 2016年に浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の福祉センターに導入されたスマート介護ロボットの「阿鉄」は、以前にメディアに報道されたことがある。重い病気を患う患者を看護するためのロボットで、高齢者の話し相手になったり、薬の服用時間に高齢者に呼びかけたりするほか、テレビ電話機能を持つ阿鉄が高齢者と家族のコミュニケーションを取り持つなどしていた。

 阿鉄を導入した福祉センター職員によると、当時の使用範囲は娯楽機能を提供する程度のものだったため、阿鉄を製造したメーカーとはすでに提携をしていない。

「私たちも、ロボットと業務上の連携が非常に良く取れていたというわけでもなかった」と職員は話した。

 また、あるメディアがかつて配信した動画では、ある高齢者が地元の方言混じりに「阿鉄!大好きだよ!」と話しかけると、阿鉄は「ご主人様、どうか中国語をお使い下さい」と答えていた。

「現時点では、国内のサービスロボット製品の多くが、自分の意思に基づいて行動するという主体性に欠けている。言語識別の正確性やクラウド・コンピューティングなどの技術も、さらに向上させていかなくてはならないだろう」と業界の専門家は分析している。(c)CNS/JCM/AFPBB News