【8月27日 AFP】ジンバブエで、長年にわたり独裁体制を敷いたロバート・ムガベ(Robert Mugabe)前大統領の失脚後初の大統領選で当選した現職のエマーソン・ムナンガグワ(Emmerson Mnangagwa)大統領が26日、首都ハラレで就任宣誓した。ただ、野党は7月の大統領選での不正と野党支持者に対する弾圧を批判しており、デモ隊に軍が発砲して6人が死亡するなど、混乱が影を落としている。

 ムナンガグワ氏は、ハラレのスタジアムで行われた就任宣誓式で「国民の権利を守り、推進していく」と言明。集まった多数の支持者やアフリカ諸国の大統領らを前に「大統領として国家への忠節を守り、憲法に従い、擁護する」と誓った。

 さらに「わが国が直面する経済的課題に集中して取り組まねばならない」として、「われわれジンバブエ国民を団結させるものは、私たちを分断しかねないものよりはるかに大きい」と述べた。

 1980年に英国から独立したジンバブエの歴代大統領は、37年にわたって独裁体制を敷いたムガベ氏と、同氏の右腕だったムナンガグワ氏の2人のみ。ムナンガグワ氏はムガベ氏が軍のクーデターで失脚した後、政権を引き継いでいた。

 7月の大統領選で対立候補だった最大野党・民主変革運動(MDC)のネルソン・チャミサ(Nelson Chamisa)議長は、投票に不正があったとして選挙結果の無効を申し立てていたが、ジンバブエの憲法裁判所は24日、訴えを却下した。しかし、チャミサ氏は裁定の受け入れを拒み、「平和的な抗議」を主導すると宣言している。

 国際選挙監視団は、これまでジンバブエの選挙に付き物だった暴力沙汰は今回ほとんど起きなかったと指摘している。ただ、欧州連合(EU)はムナンガグワ氏が国営メディアで非常に大きく取り上げられたことが選挙戦を有利にした可能性に懸念を表明。米監視団体も26日、ジンバブエは「まだ、寛容で民主的な文化を確立していると証明していない」と指摘した。(c)AFP/Fanuel JONGWE and Reagan MASHAVAVE