【8月29日 AFP】アフリカ西部ベナンの小さな町では、かつてないほど生ごみの臭いがありがたがられている。地域に試験的な廃棄物処理施設が建てられ、家庭ごみが今やバイオガス、そしてお金に生まれ変わるからだ。

「私たちのごみが金になるんです。もう茂みに投げ込んで捨てたりしません」と笑顔で話すのは、ウエグボ(Houegbo)村の廃棄物処理施設の隣に住むアルフォンソ・エーゴ(Alphonse Ago)さんだ。

 スイスの「リビン(ReBin)」が昨年設立した面積1万3000平方メートルの施設は、毎週約6トンの食品廃棄物から200立方メートルのバイオガスを生産し、炭をつくるために使用されたはずの木を164トン分ほど救っている。同施設では、年間約400トンの有機肥料も生産される予定だ。

 これまでのところ、この地域では約100世帯が毎日、生ごみを同施設に預ける計画に参加。生ごみ10キロ分につき、バイオガス代として250CFAフラン(約49円)を現金かクレジットカード払いで受け取っている。

 電気がほとんど通っていない地方では、バイオガスは貴重な生活必需品だ。

 5人の子の母親で小売店主のアグネス・アボーチェ(Agnes Avoce)さんは、バイオガスが入っている大きなポリ袋を誇らしげに腰の部分にくくり付けた。料理をする際の燃料としてバイオガスは炭よりもクリーンで使い勝手がいい、とアボーチェさんは言う。炭だと「鍋が黒くなるだけでなく、具合も悪くなる」からだ。

 炭からバイオガスに切り替えたのはアボーチェさんだけではなく、他にもバイオガスを持ち帰るために女性が5人並んでいた。

 バイクタクシーを運転しているシンフォリアン・アドノン(Symphorien Adonon)さんは、慎重に分別した1週間分の生ごみを渡し、代わりに受け取った現金を笑顔でポケットにしまい込んだ。「夕食用の買い物には十分だ」