オーストリア情報機関に伸びる、ロシア・プーチン大統領の影
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■共有情報、「翌日にはプーチン氏の机の上」?
複数の情報当局者は米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に対し、オーストリア警察が今年2月、自国の情報機関BVTに対して実施した強制捜査は特に大きな懸念を引き起こしたと語った。
オーストリア日刊紙プレッセ(Die Presse)は23日、匿名のBVT筋の話として、オーストリア政府に共有された情報は、翌日にはプーチン氏のテーブルの上に載っていると報じた。
現在、欧州連合(EU)理事会の輪番議長国を務めているオーストリアは、表向きは中立的な立場を取り、軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)には加盟していない。
オーストリアには国連(UN)のウィーン事務所のほか、石油輸出国機構(OPEC)や欧州安保協力機構(OSCE)など数多くの国際組織の本部や拠点が置かれ、冷戦(Cold War)時代には東西陣営間の仲介役を果たしてきた。
オーストリアの野党は同盟国との情報共有が今後できなくなるのではないかとの懸念から22日、2週間以内に国家安全保障会議を招集するよう求めた。
野党・社会民主党(SPOe)のヤン・クライナー(Jan Krainer)議員は「もはやオーストリアの情報機関は、信頼できるパートナーとみなされていない」と指摘し、オーストリアの安全保障を脅かしているのは政府だと非難した。(c)AFP/Philippe SCHWAB