母はネアンデルタール人、父はデニソワ人 DNA分析で初確認
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【8月23日 AFP】デニー(Denny)は、初期人類の異種交配で生まれた「婚外子」だった。
22日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された研究論文によると、デニーの母親は初期人類ネアンデルタール(Neanderthal)人で、父親はデニソワ(Denisova)人だったという。デニソワ人は5万年前にユーラシア(Eurasia)大陸に生息していた、ネアンデルタール人とは別種の初期人類だ。
英オックスフォード大学(Oxford University)の科学者らが名付けた愛称で呼ばれているこの少女は、正式名が「デニソワ11(Denisova 11)」で、死亡時の年齢が少なくとも13歳、死因は不明とされている。
論文の筆頭執筆者で、独マックス・プランク進化人類学研究所(Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology)の研究者のビビアン・スロン(Vivian Slon)氏は「異なるヒト族、初期人類のグループ間での異種交配を示す証拠は、これまでにも存在した」と説明する。「だが、直接の第1世代の子孫を発見したのは、今回の研究が初めてだ」
デニーの驚くべき血筋は、ロシアの考古学者チームが2012年に露シベリア(Siberia)のアルタイ山脈(Altai Mountains)にあるデニソワ洞穴(Denisova Cave)で発掘した骨片によって明らかになった。
この骨のDNA分析結果は疑う余地がなかった。染色体がネアンデルタール人とデニソワ人の半分ずつの組み合わせになっていたからだ。これら初期人類の異なる2種は40万年前から50万年前までの間に分岐した。
論文の主執筆者で、マックス・プランク研究所のスバンテ・ペーボ(Svante Paabo)教授は「分析に不手際があったに違いないと当初は考えた」と話す。同教授は10年前、今回と同じ洞穴遺跡でデニソワ人を初めて発見した。
4万年前以前のネアンデルタール人、デニソワ人、現生人類ホモ・サピエンス (Homo sapiens)などの初期のヒト属のゲノム(全遺伝情報)については、解析が完了したものは全世界で二十数例に満たず、異種交配の第1世代の個体に巡り合う確率はゼロに近いほど低いように思われた。
あるいは、そうではないのかもしれない。