【8月22日 AFP】ベルギー最大規模の動物公園ペリダイザ(Pairi Daiza)は21日、同園で飼育しているオーストラリア固有の有袋類のコアラ3匹のうち2匹が、1か月の間に相次いで死んだと発表した。一方で、コアラの「伝染病」をめぐる懸念については否定している。

 首都ブリュッセル(Brussels)の南西約60キロにあるペリダイザの発表によると、ゼルダという名の雌のコアラが今月に入ってから、胃の疾患が原因で死に、これに続いて20日、今度は雌のカリーナが、コアラレトロウイルス感染による疾患を発症して死んだという。コアラは特にこのレトロウイルスの影響を受けやすいと考えられている。

 施設の広報担当者は、AFPの取材に「これは悲しみを伴う偶然の出来事だが、2匹の死は原因がまったく異なり、伝染病は発生していない」と語った。

 また現在、生き残っている雌コアラのココに対して、死んだ2匹から受けたであろう「ありったけの愛情」を注ぐ取り組みが行われていることを明らかにした。

 この3匹のコアラは、オーストラリア・ブリスベン(Brisbane)にある繁殖・保護活動の拠点、ローンパインコアラ保護区(Lone Pine Koala Sanctuary)との契約の下で、2016年4月にこの施設にやって来た。ジャイアントパンダの飼育で広く知られている同園には、近く4匹目となる雄のコアラが来る予定となっていた。

 ペリダイザは21日、カリーナが死んだことを発表し、「ほぼすべてのコアラがそうであるように、カリーナもコアラレトロウイルスに感染していた」と述べ、「ウイルスに感染していても発症に至らないケースもある。だが残念ながら、カリーナの場合は進行が非常に早く、美しく愛らしいコアラをわれわれから奪っていった」と付け加えた。

 コアラレトロウイルスはコアラの生殖細胞に感染し、子孫に伝えられるため、その感染を防ぐのは困難だと科学者らは指摘している。コアラレトロウイルスは、白血病やリンパ腫などを引き起こすと考えられている。

 一方、ゼルダをめぐっては「重度の胃腸炎」を患っていたことが病理解剖の結果で判明した。コアラは「胃腸炎に対して弱いことが多い」という。

 偏食で知られるコアラは、大半の動物に対して毒性があると考えられるユーカリの葉を主な餌とする。ユーカリの葉はカロリーが少ないため、コアラは葉を大量に摂取し、そして頻繁に休む必要がある。 (c)AFP