【8月19日 AFP】サウジアラビアにある聖地メッカ(Mecca)で、イスラム教の大巡礼「ハッジ」が19日に始まった。だがその一方、サウジと断交状態にあるカタール政府は、同国の国民が今年のハッジに参加できない見通しになったことを明らかにした。

 カタールの政府高官はAFPに「カタールの市民と在住者は今年、ハッジに参加できる見込みはない」と語った。カタール国内にあるサウジの在外公館が閉鎖されており、カタール国民の巡礼者登録や査証(ビザ)発給ができないという。

 昨年6月、サウジアラビアをはじめとする湾岸諸国は、カタールがテロリズムを支援し、敵対関係にあるイランに接近しているとして突如、カタールとの国交を断絶。以来カタールとサウジアラビアは、隣国ながら1年以上も厳しい対立関係にある。カタール側はサウジなどの主張を否定したが、サウジは制裁を科して同国へのカタール国民の渡航を禁止した。

 その一方で先週、サウジ当局はカタール国民による聖地巡礼を阻んでいるということはないとし、カタールからの巡礼者も歓迎するとの声明を出した。

 だがカタール側は、サウジによる国境閉鎖や在外公館の業務停止、両国間を結ぶ直行便の廃止などで、カタール国民の巡礼が事実上不可能になっていると主張している。

 毎年、ハッジでは世界各地から約200万人のイスラム教徒たちがサウジを訪れる。サウジアラビア政府は各国のハッジ参加者について割り当て制を導入しており、カタールからは約1200人が参加できることになっている。だが、サウジ政府の専用ウェブサイト上で巡礼の登録ができないとの苦情が多くのカタール国民から寄せられている。(c)AFP