【8月18日 AFP】オランダの北海沿岸の町で、ライオンの糞の臭いを拡散して、道路や公園に侵入するシカを追い払うという対応策が検討されている。

 アムステルダム西郊の町ザントフォールト(Zandvoort)では、過去10年にわたり、気性の激しいダマジカが多数、道路に入ったり住宅の庭を荒らしたりするという問題が起きている。

 ダマジカは付近に設定された砂地の保護区よりも、緑の多いザントフォールトの環境を好んでいる様子で、ゲートやフェンスなどが設置されたものの、ダマジカの侵入防止にはほとんど効果がないという。

 だが今回、当局はライオンの糞に似た臭いを放つ新兵器の導入を検討。ダマジカを怖がらせ、追い払うことが期待されている。

「臭い拡散器」を開発した企業で働くパトリック・スタイハー(Patrick Stijger)氏は現地紙ヘット・パロール(Het Parool)に対し、本物のライオンの糞を使うのではなく、油や17種類のハーブ、さらに雨に3日間さらした灰皿のような臭いの物質を混ぜ合わせて糞に似た臭いをつくり上げたと説明。

 もともとこの物質は、ドイツの科学者がクリスマスツリー用の苗木を育てる農園をシカから守るために開発されたといい、シカを「少しばかり不安にさせる」と話した。

 オランダのダマジカたちが本物のライオンに遭遇したことはないはずだが、アムステルダム自由大学(Vrije University)のニコ・ファンスターレン(Nico van Staalen)教授によれば、この臭いは全ての動物に深く根付いた恐怖心を刺激するという。(c)AFP