機密権剥奪は「名誉」 ビンラディン殺害作戦の指揮官、トランプ氏の指導力を批判
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【8月17日 AFP】国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者だったウサマ・ビンラディン(Osama Bin Laden)容疑者の殺害作戦を指揮した元米軍司令官、ウィリアム・マクレーブン(William McRaven)退役海軍大将は16日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がオバマ前政権で中央情報局(CIA)長官を務めたジョン・ブレナン(John Brennan)氏の機密情報へのアクセス権を剥奪した措置を非難し、むしろ「名誉」だとして自分からもアクセス権を剥奪するよう求めた。
マクレーブン氏は2011~14年に米統合特殊作戦軍(JSOC)の司令官を務め、2011年にパキスタンで行われた米海軍特殊部隊「シールズ(SEALs)」によるビンラディン容疑者殺害作戦を指揮した人物として知られる。
数々の勲章を授与された経歴を持つマクレーブン氏は、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に掲載された公開書簡の中で、ブレナン氏を「私が知り得る限り最高の米公務員の一人」と擁護。トランプ氏の対応をマッカーシズム的だと非難した。
マクレーブン氏は、「国を守るためジョンほど尽力した米国人はほとんどいない」とブレナン氏を称賛。「並ぶもののない高潔な男」で、その誠実さと人格が問題になったことは一度もないと述べ、「したがって、あなたが私の機密アクセス権をも剥奪するのであれば、私はそれを名誉だと考える。そうすれば私も、あなたが大統領の地位にあることに物申した人々のリストに名を連ねることができる」と主張した。
さらにマクレーブン氏は「あなたが大統領に就任したときは、難局に際して手腕を振るい、偉大なこの国が必要とする指導者になってくれると期待していた」と続けた。
「優れた指導者は、率いる組織の真価を発揮させようとする。優れた指導者は、他者に模範を示す。優れた指導者は常に、自分自身よりも他者の幸福を優先する。しかし、あなたのリーダーシップには、これらの資質がほとんど見られない」とマクレーブン氏は指摘。
「あなたは数々の行動を通じて、子どもたちの目の前で私たち米国人に恥をかかせてきた。国際舞台で私たちの面目をつぶしてきた。何より悪いことに、わが国を分断してきた」とトランプ氏を批判し、次のように締めくくっている。
「マッカーシー(McCarthy)時代の戦術で批判の声を押さえ込めると少しでも考えているなら、ひどい思い違いだ。あなたがわれわれの期待した指導者になるまで、批判がやむことはない」
一方、ブレナン氏は16日の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に寄稿し、「トランプ氏は明らかに、自身や側近を守ろうと死に物狂いになってきている」と批判。機密アクセス権の剥奪は「自分に盾突こうとする者たちを脅して黙らせようとする試み」だとの見方を示した。
また、米大統領選へのロシア介入疑惑でロシア側との「共謀はなかったというトランプ氏の主張は、一言で言えばナンセンスだ」と一蹴。「残された疑問は、行われた共謀が刑事責任を負うべき共謀罪に当たるか、共謀をごまかすための司法介入があったかだけだ」と述べた。 (c)AFP