ペットボトルの漁船で貧困に打ち勝つ パレスチナの漁師
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【8月17日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の漁師ムアス・アボ・ゼイド(Muath Abu Zeid)さん(35)は、数百本の空のペットボトルを収入源に変えた。
4人の子どもを持つムアスさんは、ガザ地区南部ラファ(Rafah)の海岸で集めたペットボトルを接着剤や古い網でつなぎ合わせ、小さな漁船をつくり上げた。この船が家族を支える助けになればと願っている。
ペットボトル700本でできた船は簡素だが実用的で、最大8人を乗せて海に出ることができると、ムアスさんはいう。
上部にくくり付けた平らな板に座り、岸から数百メートル離れた、漁をするのに十分な場所まで船をこぐことが可能だ。そこで、ムアスさんはおよそ8時間かけて、イワシやボラや小魚など、5~7キロ分を釣る。釣った魚を近所の路上で通行人に売ると、1日20~40シェケル(約600~1200円)の稼ぎになる。
ムアスさんの2人の弟、モハメドさん(23)とアシュラフさん(20)も毎日、漁に着いて行く。2人ともどこに行っても仕事を見つけることができなかったのだ。
ムアスさんは、現在はイスラエル領になっているヤッファ(Jaffa)近郊の村出身の難民の子孫だ。「元は住宅の塗装工をしていたが、状況は厳しく、失業した。だから、この船が私と家族の生命線になっている」と語る。
イスラエルによる封鎖が10年以上も続いているガザは、壊滅的な打撃を受けている。世界銀行(World Bank)の2017年の統計によると、ガザ全体の失業率は44%。若者の間では60%と「驚異的な」数字になっている。(c)AFP/Adel Zaanoun