米ネブラスカ州、乱用問題の「フェンタニル」で初の死刑執行
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【8月15日 AFP】米中西部ネブラスカ州で14日、死刑執行に同国で初めてオピオイド系鎮痛剤のフェンタニルが使用された。過去に試されたことのない4剤注射に含まれたこのフェンタニルは、米国内でその過剰摂取による死亡事故が相次ぎ、乱用が問題となっている。
処刑されたのは、1979年の殺人2件で死刑が言い渡されていたキャリー・ディーン・ムーア(Carey Dean Moore)死刑囚。
同州矯正局長によると、ムーア死刑囚の死亡は同日午前10時47分(日本時間15日午前0時47分)に確認された。執行開始から約20分後だったという。
ネブラスカ州における死刑執行は21年ぶり。前回は1997年、電気椅子による処刑で、薬殺刑は今回が初めて。同州では2015年、州議会によって死刑が廃止されたが、翌16年の住民投票で復活した経緯があり、同日の死刑執行は同州にとって大きな転換点となった。
今回投与された薬物は、意識を落とす鎮静剤のジアゼパム、鎮痛剤のクエン酸フェンタニル、呼吸を停止させる筋肉弛緩(しかん)剤のシサトラクリウム、そして最終的に心停止をもたらす塩化カリウムだった。
これら4剤のうち、塩化カリウム以外の3剤が薬殺刑に用いられたのは初めてで、米各州で死刑執行に使用する薬剤の入手が困難となっている現状も改めて示された。(c)AFP/Nova SAFO