【8月14日 CNS】連日高温が続く中国・遼寧省（Liaoning）では、大連市（Dalian）や同省沿岸地域で養殖しているナマコが広範囲で大量死し、養殖業者が深刻な被害を受けている。同省海洋漁業庁は、初期の統計で地域の被害面積は約6万2000ヘクタールに及び、被害量は6.8万トン、直接的な被害額は68億7000万元（約1100億円）に上ると発表した。

　ナマコの養殖地域として有名な大連の瓦房店市（Wafangdian）、普蘭店市（Pulandian）などを訪れたところ、多くの養殖池で大量死したナマコの死骸が目についた。海中でも、高温の影響で死んだと見られるナマコが、海面上に浮いていた。

　瓦房店市でナマコ養殖業を営む喬洪泉さんは、「7月末からナマコが海面に浮上するようになって、水を取り替えたり薬を投入したりしてきたが、まったく効果が無かった。今月上旬には広範囲で大量死した。温度がこれほどまでに高いと、もう救いようがない」と嘆いた。喬さんのところでは、200万元（約3200万円）近い損失だったという。

　今回のナマコ大量死は、地域のナマコ養殖業全体に大きな損害をもたらしている。大まかな統計だが、現在同市で被害を受けた養殖業者は1000業者近いとされ、被害額は数百万から数千万元にまで及ぶという。しかも大連市だけでなく、遼寧省の沿岸地域や河北省（Hebei）、天津市（Tianjin）など別都市でもナマコが死んでいるという。

　大連海洋大学（Dalian Ocean University）水産・生命学院の周ウェイ（Zhou Wei）教授は、「ナマコが海中で生息できる夏季の適度な水温は、一般的に23度。だが、ここ数日の海水温は33度前後あった。この高温がナマコが死んだ直接の原因だろう」と指摘する。

　大連市は、2014年から海水の高温によるナマコ損失に備えた保険事業を試験的に始めている。保険によって、600平方メートルにつき100元から300元（約1600～4800円）、場合によっては最大で6000元（約9万6000円）まで補償するという。しかし今回の大量死に際し、大連市内で保険に加入していたのは2業者のみだったという。(c)CNS/JCM/AFPBB News