最古級の翼竜、2億年前の新種化石を米ユタ州で発見 論文
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【8月14日 AFP】自力飛行した初の脊椎動物である翼竜の最古級の新種化石を米ユタ州で発見したとする研究論文が13日、発表された。
2億年以上前の三畳紀後期に出現した、恐竜でも鳥類でもない翼竜は、約6500万年前に巨大隕石(いんせき)の地球衝突が発生するまで太古の空をわがもの顔に飛び回っていたが、この隕石衝突で、恐竜を含む生物の大半が死滅した。
ユタ州北東部で発見された化石によって新種と同定されたこの翼竜の仲間は、翼を広げたときの幅が1.5メートルと、この時代のものとしては大型で、くちばしの先端付近から突出した牙状の犬歯を含む112個の歯を持っていた。
下顎が前に突き出ているのは、おそらく魚や無防備な小型爬虫(はちゅう)類などをすくい上げるための、ペリカンに似た「喉袋」を持っていたことを示唆している。
米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に掲載された論文の主執筆者で、ユタ州にあるブリガムヤング大学(Brigham Young University)の古生物学者ブルックス・ブリット(Brooks Britt)氏は、「この翼竜は飛行に適した繊細な骨格構造を持つ動物だ」と話す。
「天の風」という意味の学名「Caelestiventus hanseni」を持つこの翼竜の化石は、おそらくこれまで発見された中で最も完全に近い骨格を残したものだろう。
約5100万年続いた三畳紀の化石標本は全世界で30体あまりしか存在しないと指摘したブリット氏は、AFPの取材に「大半の翼竜の骨は車にひかれた死骸のように見える」と語った。それに比べて、新発見の標本は原形を保った骨と歯が数十個と完全な頭蓋骨で構成されている。
翼は実際には皮膜で、主に前肢の第4指によって支えられていたが、非常に大きな眼窩(がんか)は「優れた視力」を持っていたことを示唆していると、ブリット氏は述べた。