【8月14日 AFP】韓国の裁判所は13日、ソウルの美術大学で男性のヌードモデルを盗撮した女に禁錮10月の実刑判決を言い渡した。盗撮の罪で実刑判決が言い渡されるケースは珍しく、司法のダブルスタンダード(二重基準)だとの批判を招いている。

 ハイテク大国の韓国では「スパイカメラ(隠し撮り用小型カメラ)」による盗撮被害が拡大しており、ほとんどが男性による女性の隠し撮りで、学校やオフィスなど、至る所で横行している。

 スパイカメラを使った犯罪の通報件数は2010年の1100件前後から、昨年には6500件超へと急増。加害者はオンライン上で撮影した写真や動画を共有もしくは販売することが多い。

 公式の統計によれば、加害者の98%は男性で、職業は教師や大学教授、教会の牧師、警官など多岐にわたる。一方で被害者の80%超は女性だとされている。

 だが今回の事件では、加害者は被害者男性と同じくヌードモデルだった20代の女で、首都ソウルの美術大学で男性のヌード写真を撮影。5月にインターネットで共有し、今回禁錮10月の実刑判決を受けた。

 だが一方で警察は、多くの活動家が異例のスピードと積極さと評する対応をみせて、家宅捜査を実施。逮捕された加害者の女は、取材カメラの前にさらされた。

 統計によると、初犯の加害者のうち実刑判決を受けるのはわずか8.7%で、ほとんどは罰金刑にとどまったり、執行猶予が与えられたりするなど、軽い罰を受けるのみとなっている。

 サイバー性暴力に取り組む韓国の市民団体の代表者はAFPに対し、被害者が男性という今回のまれなケースでみせた警察の対応は、これまで例のないものだったと評し、「被害者が女性だったこれまでの数えきれないケースで、警察がこれほど迅速に動いたのはほとんど見たことがない」と話した。(c)AFP