【8月10日 AFP】2017年のブラジルの殺人発生件数は6万3880件に上り、過去最多を更新した。非営利団体「ブラジル公安フォーラム(Brazilian Forum for Public Security)」が9日、年次報告書で発表した。1時間に7件を超える殺人事件が発生している計算で、同国の厳しい現状を示している。

 報告書によると、犠牲者のほとんどが男性だが、女性の犠牲者が前年から6%増加していることも分かった。

 女性の被害件数のうち、性別を理由に女性を意図的に狙った殺人、通称「フェミサイド(女性殺し)」は1133件。また、レイプの発生件数は前年比8%余り増の6万18件だった。

 ブラジルでは今週、女性が夫から激しく殴られる様子を捉えた南部での監視カメラ映像が広まり、女性に対する暴力の増加への怒りが高まっている。この女性は映像の数分後、夫に窓から突き落とされ、殺害されたとみられている。

 ブラジルでは北部を中心に殺人事件が多く、殺人の問題は当局への怒りを招く一因となっている。同国では10月に投開票が行われる大統領選挙が始まったところで、この問題が重要な争点になるとみられている。(c)AFP