キルギスの「誘拐婚」 女子医学生刺殺事件で批判高まる
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【8月11日 AFP】旧ソ連構成国キルギス北部ソクルク(Sokuluk)の住宅脇に設置されたユルト(カザフやギルギスら少数民族が使う移動式テント)」の中で先ごろ、ある若い女性の死を悼む伝統的な葬制の儀式が行われた。親族女性らの泣き声はユルトの外にも漏れ響いていた。
亡くなった女性は、小児科医を目指していた医学生のブルライ・トゥルダーリ・クズさん(20)。母親のグリナラ・コジャナリエワさんはAFPに、「あの子は私の末娘だった。謙虚で行儀の良い子だった」と涙ながらに語った。
トゥルダーリ・クズさんは、いわゆる「誘拐婚」の犠牲者だ。長く付き合っていた恋人との結婚を望んでいたが、今年5月に北部チュイ(Chui)州の警察署内で、嫉妬に狂った誘拐犯の男に殺害されたのだ。
彼女の遺体を見たという家族の話によると、その胸部には、彼女と彼女の恋人のイニシャルである「N+B」の文字が、容疑者の男(30)によって刻まれていたとされるが、警察当局はこれを事実ではないとして否定してる。
容疑者の男は、自らに対する不利な証言を恐れ、警察署内で女性を刺殺した。この事件では、少なくとも警官23人が職務怠慢で懲戒や停職、解職の処分を受けている。
この事件は、人口約600万人の同国を震撼させた。数千人の人々が抗議のために街頭に繰り出したほか、国連(UN)や複数の人権団体も非難の声を上げた。
家族は警察の説明を認めていない。おじのセイトさんは、家族が自らの手で始末をつけるべきだとAFPに強い口調で語り、「法律が機能しないなら、われわれが行動するべきだ。目には目を、血には血を、だ。警察署という場所で、なぜこのような残忍な行為に及ぶことができたのか」と憤った。女性の母親もキルギスの司法制度を批判している。
警察の発表によると、容疑者の男は女性を襲撃した後、刃物で自らを傷つけ、病院に搬送された。今後、殺人罪で起訴される見通しだ。また共犯の容疑者も誘拐への関与で捜査を受けているという。