大英博物館収蔵のモアイ像、イースター島の先住民が返還求める動き
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【8月8日 AFP】南太平洋のチリ領イースター島(Easter Island)で、先住民ラパヌイ(Rapa Nui)の自治組織が同国政府に対し、150年前に持ち去られ、現在は英ロンドンの大英博物館(British Museum)で収蔵されているモアイ像の返還運動への支援を求めている。
高さ2.4メートルのモアイ像「ホアハカナナイア(Hoa Hakananai'a)」は英国に運ばれ、ビクトリア女王(Queen Victoria)に献上されたとされる。
イースター島のモアイ像900体超のほとんどは、6~17世紀に凝灰岩を彫ってつくられた。しかしラパヌイの人々の言葉で「盗まれた友」または「隠された友」を意味するホアハカナナイアは、玄武岩でつくられた珍しいモアイだ。
その背面には、崇拝されていた鳥人「タンガタマヌ(Tangata Manu)」に関連する彫刻画が描かれている。
チリのフェリペ・ワード(Felipe Ward)国有財産相はAFPに対し、返還要求について「イースター島で実施されているモアイに関する新たな協力・保護活動を考えれば、適切だと思える」と述べた。
ラパヌイの人々は昨年12月以来、自らの考古学的遺産の保護や保存、管理をチリ政府から委譲された。
チリ政府は最近、イースター島の環境持続可能性が脅かされている事態を受け、人口規制措置に踏み切った。これにより、同島への旅行を希望する観光客の滞在可能期間は30日以下となるほか、ラパヌイ以外の人々の居住者の数も制限される。(c)AFP