トルコ大統領が米2閣僚への報復制裁を表明 激化回避の意向も
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【8月5日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は4日、米政府がトルコの法相と内相に課した制裁の報復として、同国は米閣僚2人に同様の制裁を課すと述べた。北大西洋条約機構(NATO)加盟国同士で閣僚に制裁を課し合う事態は前例がない。
トルコは米国人のアンドルー・ブランソン(Andrew Brunson)牧師をテロ関連の容疑で2年近く前から拘束しており、このことで1974年のトルコによるキプロス侵攻以降、両国関係における最大級の危機が発生している。
エルドアン大統領がこの論争に言及したのは、米政府が1日に制裁を課してから初めて。一方、同大統領は「どちらも失うばかり」の展開には双方とも興味がないと述べ、事態のさらなる激化を避けたがる様子も見せている。
同大統領はテレビ演説で「私はきょう、われわれの友人たちに、米国の法務長官と内務長官がトルコ国内に資産を保有している場合、それを凍結するよう指示する」と述べた。
エルドアン大統領による米閣僚への制裁の発表は、ブランソン氏拘束をめぐり、トルコのスレイマン・ソイル(Suleyman Soylu)内相とアブドゥルハミット・ギュル(Abdulhamit Gul)法相に制裁を課すとした米政府の判断への対抗措置。
制裁は両閣僚が米国内に保有する財産・資産を凍結するとともに、米国民に両閣僚との商取引を禁じるものだが、いずれも米国内に資産はないとする一方、米側の閣僚もトルコ国内に資産を保有していない可能性が高い。
米国務省の元官僚で、ワシントンのシンクタンク、ブルッキングス研究所(Brookings Institution)の上級研究員を務めるアマンダ・スロート(Amanda Sloat)氏はAFPに対し、「双方の制裁に実質的な効果があるとは考えにくいが、NATOの同盟国同士が互いの政府のメンバーに制裁を課す事態は重大であり、前例がない」と述べた。(c)AFP/Luana Sarmini-Buonaccorsi and Stuart Williams in Istanbul