刑務所で編み物にパン作り、元ギャング社会復帰への道 エルサルバドル
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【8月8日 AFP】タトゥーに覆われた手で器用に編み物をする男性。そばでは別の男性が、ディズニー(Disney)のアニメ映画『アナと雪の女王(Frozen)』のキャラクター、エルサの絵に仕上げを施している。これは、エルサルバドルにある刑務所内の光景だ。ここには、この国の非常に暴力的なギャング組織の元メンバーたちが収容されており、これまでの人生を改め、社会復帰するための準備を行っている。
米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に「アニマル」と呼ばれている人々にとって、ここは更生への道だ。トランプ氏は中米のギャングたちと、同地域から流入して来る多くの移民たちを同一視しようとしてきた。
エルサルバドルやホンジュラス、グアテマラは、世界で最も危険な国に名を連ねており、中米の「北部三角地帯(Northern Triangle)」と呼ばれている。米国への不法入国は、治安悪化や汚職、貧困から逃れるために米国を目指すこれら3か国の人々が最多を占める。
北部三角地帯の二つの主要なギャング組織、「MS-13」と「バリオ18(Barrio 18)」。これらの犯罪組織は、1980年代から米カリフォルニア州ロサンゼルスの通りを牛耳るようになったが、米当局による中米出身者らの本国送還に伴い、彼らもまた北部三角地帯に戻ることを余儀なくされた。
エルサルバドルでは、地元で「マラ」と呼ばれるこうしたギャングたちが国内の殺人発生率を押し上げている。エルサルバドルの殺人発生率は、戦闘地域を除いて世界最悪だ。同国には、7万人のギャング組織のメンバーがいると推定されている。
ギャング組織からの脱退は危険を伴う。しかし首都サンサルバドルの東にあるサンフランシスコゴテラ(San Francisco Gotera)刑務所の受刑者たちは、そうしたリスクを冒すことを望んでいる。彼らが参加しているプログラムは、福音派教会によって運営されている。
「私たちは、組織に属していたことをとても後悔している。あの頃は常に多くの厄介事に首を突っ込んでいた」。モイセス・リナレス受刑者(30)は、AFPにそう語った。
彼の額には、かつて忠誠を示すために入れた「18」という大きなタトゥーがある。恐喝の罪で服役してからすでに12年がたつ。