誰がストーンヘンジを造ったか、火葬の灰が手がかりに 研究
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【8月3日 AFP】英イングランド南部にある5000年前の新石器時代遺跡「ストーンヘンジ(Stonehenge)」の環状に立ち並ぶ巨石群に囲まれて埋葬された人々に関する謎は、100年に及ぶ詳細な科学的調査にもかかわらずほとんど解明されていない。
大半の遺体は火葬されており、遺灰と数えるほどの骨片しか残されていないため、考古学的調査が行き詰まっているからだ。
だが、研究初期は英オックスフォード大学(University of Oxford)の大学院生だったクリストフ・スノーク(Christophe Snoeck)氏による発見により、埋葬された人々の多くが英西部ウェールズからはるばるこの地にやって来た可能性が高いことが明らかになった。ストーンヘンジの謎に満ちた魅惑的な巨石建造物群を造るのに使われているブルーストーンは、ウェールズから運ばれてきたとみられている。
スノーク氏と研究チームが英オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表した論文によると、巨石の輸送を助けた可能性のあるこれら先史時代の徒歩旅行者たちの一部は、火葬に付された後の遺灰が埋葬されていたという。
中には作業中に亡くなった人や、ストーンヘンジの近くに定住して一生を終えた人もいたかもしれない。
スノーク氏が実験室で発見したのは、骨に含まれる重元素ストロンチウムが、1000度超に達する可能性のある火葬用のまきの山の高温にも耐えられることだ。
実際に、極度の高熱によってストロンチウムに固有の痕跡が封印され、周囲の土壌による汚染から、数千年にわたってさえも、隔絶された状態にある。
焼かれた遺体から情報を引き出すことを試みていた科学者らにとって、このストロンチウムが情報の金脈となった。
火葬はDNAを含む有機物のすべてを破壊する。「だが、無機物質はすべて残存しており、この遺体の無機質部分には大量の情報が含まれている」と、スノーク氏は説明した。
ストロンチウムの痕跡を測定することで「人が摂取する食物、特に植物の原産地がどこかを判断することが可能になる」と、スノーク氏はAFPの取材に語った。