「インスタ映えする街」重慶、後遺症に苦しむ 民泊乱立でトラブルも
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【7月31日 CNS】坂の多い独特な街並みの中国・重慶市(Chongqing)。洪崖洞(Hongya Cave)や長江ケーブルカー(Yangtze River Cableway)などの新たな観光地も人気を集め、この1年で、中国語でネットで人気がある存在を表す「網紅(Wanghong)」都市となった。しかし「網紅」になったための「後遺症」とも言うべき問題に苦しんでいる。
観光客の多くは、地元密着型の民泊を好むようになり、民泊業が急速に発展している。一つの集合住宅区内の300軒が民泊として提供されている場所もあるという。民泊を営む大家は、部屋を多数所有しており、空いている部屋をインターネット上で短期滞在用に低価格で提供している。
ほかの住民からすると、迷惑以外の何者でもない。マンションのエレベーターは頻繁に人が出入りするようになり、観光客と住民との間で衝突が絶えない。仕方なく階段を利用する住民も多いというが、高齢になるとそれも大変だ。また、勝手に部屋を改装するなど、違法な経営を行う大家がいたり、ベランダや廊下などで深夜まで騒ぐ観光客がいたりと、住民の日常生活を脅かしている。
■昨年に重慶を訪れた観光客は2億6千万人
重慶日報とオンライン旅行サービス大手の携程(シートリップ、Ctrip)が今月、共同で発表した「2018年重慶上半期観光ビッグデータ報告」によると、2018年上半期に重慶を訪れた観光客は2億6000万人で、観光総収入は1900億元(約3兆1000億円)を超えた。観光客数、観光総収入ともに前年同期比2桁ずつ増えた。民泊収入は全国7位だった。
易居研究院(E-house China R&D Institute)シンクタンクセンターの厳躍進(Yan Yuejin)研究総監は、「集合住宅を商用に使うことは違法だ。違法なだけでなく、消防や安全面のリスクが存在する。民泊は新しい業態であるため、政策や法律が未整備だ。一方で、民泊自体は、急成長を遂げている強みがあり、遊休資産を活用しながら観光資源を取り入れる有効な手段でもある。地方政府が協力して新たな規則を設ける必要がある」と話した。(c)CNS/JCM/AFPBB News