【7月30日 AFP】2022年サッカーW杯（2022 World Cup）の招致で、開催国に決定したカタールが、国際サッカー連盟（FIFA）の規則に抵触する「秘密工作」を行い、ライバル国をおとしめるプロパガンダを展開していたと英メディアが報じた。すでに数々の疑惑や問題が指摘されているカタール大会だが、ここにきて新たな疑いが浮上している。

　招致担当者がリークしたメールを入手したという、英サンデー・タイムズ（Sunday Times）紙によれば、カタールの招致チームは、米国に事務所のあるPR会社や元中央情報局（CIA）の職員らを雇い、招致の主なライバルであるオーストラリアと米国に関する「偽の情報」を広めようとしていたという。同紙は2014年にもカタールが買収工作を行っていたと報じたが、FIFAはマイケル・ガルシア（Michael Garcia）氏の下で2年間に及ぶ調査を行った末、票の買収はなかったと結論づけた。

　カタールは、各所に影響力のある人材を勧誘し、W杯開催が国民の「支持をまったく得られていない」印象をつくり出して、各国の招致活動を妨害する作戦を立てていたという。国内の強い支持は、FIFAが招致でとりわけ重視する項目の一つとされ、FIFAのガイドラインでは、立候補者が「他の加盟団体の申請や立候補をおとしめるような書面や口頭での活動」が禁止されている。

　しかし、サンデー・タイムズ紙が入手したという招致副委員長あてのメールには、他の候補に「毒」を盛る計画をカタールが把握していたことが示されているという。それだけでなく、W杯招致の「悪」影響を米議会にアピールする計画や、米国の教授に9000ドル（約100万円）を支払い、W杯の経済的負担に関する報告書をつくらせる計画もあったという。

　カタール側は報道を真っ向から否定し、開催を担当する引き渡し・遺産最高委員会（Supreme Committee for Delivery and Legacy）は「サンデー・タイムズ紙の主張の一切を否定する」と発表。「われわれは徹底的な調査を受け、招致に関する情報もすべて提出した。米国のマイケル・ガルシア氏による公式調査も受けた。2018年、2022年大会の招致の過程では、FIFAのあらゆる規則、規定に厳密に従ってきた」と述べた。

　おおむね成功に終わったロシア大会が閉幕したばかりのFIFAは、「マイケル・ガルシア氏によって徹底的な調査が行われ、同氏の結論は報告書に示されている」とだけ話している。

　2018年大会と2022年大会の開催地は2010年12月に決定し、カタールがオーストラリアと米国、また韓国と日本を破って開催国に決定したことは各国に衝撃を与えた。2018年大会は、ロシアがイングランドなどを抑えて招致に成功した。(c)AFP