【7月30日 AFP】イタリアの警察は29日、同国北部の山中で2005年に発見された遺骨について、60年以上前に行方不明になっていたフランス人男性と特定されたと発表した。いったんは捜査が行き詰まり、ソーシャルメディア上で詳細を公開した結果、身元判明に至ったという。

 男性の遺骨は2005年、スイスとの国境に近いバレダオスタ(Valle d'Aosta)州のバルトゥルナンシュ(Valtournenche)谷にある、チメビアンケ(Cime Bianche)峠の標高3000メートル超の地点で発見されていた。

 捜査官らは、亡くなった男性は身長約175センチで年齢は30歳前後、死亡したのは春と推定。同時に、眼鏡と腕時計、イニシャルの刺しゅう入りのシャツの切れ端も見つかっていた。

 しかし身元特定は進まず、同州検察当局は先月末になって、捜査で判明した内容をフェイスブック(Facebook)に投稿。特にフランスとスイスで情報を拡散してほしいと呼び掛けた。

 この話をラジオで聞いたあるフランス人女性が、男性は自分のおじではないかと名乗り出た。1919年生まれのアンリ・ルマンヌ(Henri Le Masne)さんが、1954年にマッターホルン(Matterhorn)近くでスキー中に嵐に見舞われ、行方不明になったと語ったという。

 さらに、アンリさんの弟だという現在94歳の男性からも連絡があった。警察が公表したこの男性からの電子メールには、「私はアンリ・ルマンヌの弟です…64年前に行方不明になったスキーヤーかもしれません。アンリは独身で、概して一人を好み、パリの財務省で働いていました」と記されていた。

 警察によると、家族が提供した写真に写っていた眼鏡が、捜査官らが見つけた眼鏡と一致。さらにその後のDNA鑑定で、ルマンヌさんと確認されたという。(c)AFP