NZ当局、アンティークピアノから象牙剥がし批判浴びる
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【7月29日 AFP】ニュージーランド当局が、英国から移送されたアンティークピアノの鍵盤に使用されていた象牙を剥がしていたことが判明し、ピアノの所有者などから非難を浴びている。
123年前に製造されたアップライトピアノは、1914年以前に製造された象牙製品のため、本来は厳しい取り締まり規定の対象外として扱われるべきものだった。
ニュージーランドメディアによると、このピアノを所有していたのは、同国に妻と子ども2人を伴い移住した、英国人の心臓病研究者ジュリアン・ペイトン(Julian Paton)さん。先祖伝来の家財として大切にしていたピアノを移送する際、特別な証明書が必要であることに気付かなかったという。
ペイトンさんはニュースサイト「stuff.co.nz」に対し、「われわれ一家はお役所仕事にがっかりし、ぞっとした」と述べ、従うよう指示された全ての規定に従ったと強調した。
同サイトが報じたところによると、英国の当局はこのピアノを「英国から違法に運び出され、ニュージーランドへ違法に持ち込まれたものとみなしていた」と、ニュージーランドの野生動物保護当局は説明したという。
ニュージーランド紙へランド・オン・サンデー(Herald on Sunday)は、当局の判断について、同国の評判を高めることにほとんど寄与しない「カフカの作品のような(不条理な)お役所仕事」だと非難した。
さらにペイトン一家が暮らす地域から選出されている国会議員のデビッド・シーモア(David Seymour)氏は、一連の出来事を「言語道断」と評し、象牙を剥がしたことは「野蛮な行為」だと述べている。
高価な合成樹脂を鍵盤に貼り付けなければならなくなったペイトン氏は、象牙を剥がす作業および廃棄料金を支払うよう求めた政府の命令に対しても闘っていくという。(c)AFP