【7月28日 東方新報】商売を始めるためとして友人から集めた金を、お気に入りの女性ライブ配信者にプレゼントしてしまい、仲間たちに合わせる顔が無くなってしまった陳容疑者(仮名)(25)は、苦し紛れの「最後の手段」に出た。

 自分が強盗傷害事件の被害者であるかのように自分を傷つけて事件現場を捏造(ねつぞう)して警察に通報したが、捜査で嘘がばれ、ツケを支払うことになった。

 陳容疑者は、6月28日午前0時半頃、車を運転して帰宅途中の路上で、突然2台の小型車に道を阻まれ、車内にあった現金30万元(約490万円)を男二人に奪われ、また相手と激しくぶつかった際に、犯人が所持していた刃物で左腕と右腹部を刺されたと、警察に嘘の通報をした。

 しかし、捜査を進めるうち、警察は陳容疑者が提供した「強盗犯」の車ナンバー情報などが警察のデータに全く該当しなかったことなどが明らかになった。

 また、陳容疑者が小型車に道を阻まれたという道路は幅が広く、阻まれたとしても逃げることができると考えられた。本人の銀行口座や消費履歴などからは、収入が消費水準より明らかに低かった。さらに、陳容疑者のけがについて法医学鑑定を行った結果、自傷行為の可能性があると判断されたことなどが決定打になり、警察は、この事件には最初から容疑者がいない可能性があり、通報した陳容疑者が虚偽の通報をしたと判断した。証拠を突きつけられた陳容疑者は7月9日、その事実を認めた。

 陳容疑者は中古車販売や飲料の卸売りなどの仕事をし、収入は平均的だった。しかし、あるインターネットライブ配信サービスを行う女性に夢中になってしまい、相手を喜ばせようとプレゼントを贈るようになったという。

 調べによると、陳容疑者はインターネットの仮想通貨を利用し、女性に30万元(約490万円)に相当する贈り物をしていたため、借金が増え続けていたという。さらに、友人らにウォーターサーバー販売事業の共同経営を持ちかけ、10万元(約163万円)ずつ集めた金も、女性へのプレゼント代に充てていたことが判明。友人らに説明できなくなり、今回の虚偽通報に及んだとみられる。

 陳容疑者は、10日間の拘留処分と500元(約8000円)の罰金を科せられたが、陳容疑者から出資の誘いを受けた別の知人の存在も明らかになっており、警察は陳容疑者を詐欺の疑いでも調査を進めている。(c)東方新報/AFPBB News