【7月27日 AFP】カンボジア下院総選挙の投開票を2日後に控えた27日、フン・セン(Hun Sen)首相が首都プノンペンで開かれた選挙集会で演説し、最大野党の解党に言及して「反逆者の排除」に成功したとアピールした。有力な野党が存在しない中、カンボジアの事実上の一党独裁は続く見通しだ。

 与党カンボジア人民党(CPP)の青と白の服を着た大勢の支持者らは夜明けから、プノンペン中心部の会場にオートバイやバスで集まり始めた。フン・セン首相が33年間率いてきたCPPへの支持を示す一大イベントでだ。昨年11月、最高裁が最大野党カンボジア救国党(CNRP)の解党を命じたため、29日の総選挙を前にカンボジアで行われる大規模な選挙集会はこれだけだとみられる。

 フン・セン首相はいつもの大げさな表現で総選挙の勝利を誓うとともに野党勢力を攻撃した。野党勢力の多くの人は投獄、政治亡命、国内での潜伏などの憂き目にあっている。フン・セン首相はCNRPの解党に言及し、「最近、政府転覆を企てた反逆者どもを排除する法的措置を取った」と語った。「やつらを厳しく排除していなかったら今ごろカンボジアは戦場となっていただろう」

 1990年代以降、自身の政権下でカンボジアが平和とある程度の繁栄を享受してきたというのが、フン・セン首相が訴える実績の柱だ。カンボジアは1990年代初めに内戦を脱し、クメールルージュ(Khmer Rouge)とも呼ばれたポル・ポト(Pol Pot)派を消滅させている。CPPは年率6~7%ほどの成長率でカンボジア経済を押し上げている。ある支持者は、「CPPと共にわが国は成長している。学校も、平和も、あらゆるものを手にしてきた」「7月29日、わが党は大勝利を手にするだろう」と語った。

 総選挙には20党が候補者を出しているが、これらの多くは新党か素性のあやしい党で、選挙に正統性を与えるために参加したと批判されている。国際人権連盟(FIDH)のデビー・ストサード(Debbie Stothard)事務局長は26日、「カンボジアの選挙は、フン・セン氏の独裁的支配を延命させるためのごまかしだ。カンボジアをさらに悲惨で抑圧された状態に陥れるものだ」と指摘した。(c)AFP/Suy SE, Joe Freeman