【7月26日 AFP】世界では約3分に1人の割合で、15~19歳の少女たちがHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染している。国連(UN)が25日、報告書を発表し、男女不平等によって助長される「危機」に警鐘を鳴らした。

 オランダ・アムステルダムで開催の第22回国際エイズ会議(International AIDS Conference)で公表されたデータによると、2017年にHIVに感染した15~19歳の3分の2は少女だった。HIVは、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)を引き起こす

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)のヘンリエッタ・フォア(Henrietta Fore)事務局長は、事態は危機的状況にあるとし、「多くの国では、女性や少女たちが必要な情報やサービスにアクセスすることが難しく、また安全でない性行為に対してノーと言う権利さえない」「HIVは、最も弱い立場にある社会的に取り残された人々の間で猛威を振るっている。10代の少女たちは、こうした危機の中核を成している」と述べた。

 ユニセフによると昨年、エイズによって死亡した19歳以下の若者は13万人で、新規感染者は43万人に上った。これは、毎時約50人が新たに感染した計算になる。

 エイズに関連する死者数は、他の年齢層では2010年以降減少し続けているが、15~19歳では一定の水準を保ち続けている。

 2017年、15~19歳のHIV陽性患者は約120万人で、5人中3人が少女だった。ユニセフは、10代少女たちの間で見られる感染拡大は、年上男性とのものを含む早い時期での性行為や強要された性行為、また性的関係を断る際の無力さ、貧困、さらには信頼できる相談窓口や検査機関へのアクセスのしにくさによって助長されていると指摘している。

 女優で活動家のシャーリーズ・セロン(Charlize Theron)さんは24日、会議に出席する代表団に向けてこの問題を提起した。

 南アフリカ出身のセロンさんは、エイズの感染拡大は「単に性行為や性的指向といったことに収まる話ではない」「私たちは、世界中で女性や少女たちが(男性よりも)下級扱いされていることと関係があると知っている」と述べた。

 また国際エイズ学会(IAS)の最近の報告書では、感染拡大が10代の少女や若い女性たちに及ぼす「著しい影響」が浮き彫りにされた。

 報告書には、「アフリカの15~19歳少女の10人中4人は、身近なパートナーから身体的あるいは性的な暴力を経験している。これは、性別に基づく暴力がHIVへの感染リスクを高めることとの関連を示す証拠だ」と記された。(c)AFP