【7月27日 CNS】「車両は5時間後に到着します」「お客様の前に263人の乗客が順番待ちしています」

 近頃、中国・北京などで配車サービスの利用が難しいという現象が起こっている。

 記者は北京市内で16日、配車サービスアプリ上でタクシーを予約したが、前に21人の乗客が順番待ちをしており、「30分待ち」と表示された。当日北京が大雨に見舞われたことも影響していたようだ。

 配車サービスだけではなく、従来のタクシーも捕まりにくくなっている。アプリ上では近くに車両が待機しているのが見えるのに、呼んでも来てくれず、アプリ上でチップを10元(約160円)渡して、やっと近くで待機していたタクシーが乗せてくれた。

 中国の大手配車サービスの滴滴出行(Didi Chuxing)関係者は、「おそらく需要と供給のバランスが崩れたことが原因だ」としている。

■理由は警察の取り締まり以外にも

 別の会社の関係者は、「7月に入ってから警察の取り締まりが厳しくなったことも原因だ」と話す。特に空港や駅などでは、24時間体制で検査を行っているという。違反している運転手には1万5000元(約24万5410円)の罰金が科されるため、多くの運転手は空港や駅の近くに行かなくなったという。

 では、合法になるようにきちんと手続きをすればいいのではないのか。運転手の魏さんは、「合法の車は8年で廃車にしなければいけないらしい。20万元(約329万円)も出して買った車を、誰がそんなに早く廃車にしたいと思うか?いま運転手のほとんどは家に引き込もって、『流し』もしなくなったよ」と話す。

 しかし記者が調べたところ、規定では配車サービスに使用する車両の営業許可の期限は8年で、その後は配車サービスを提供してはならない。ただし、走行距離が60万キロを超えた場合は、廃車にしなければならないとなっている。

 一般的なタクシーは、1年間におよそ10万キロ走行するという。つまり北京の配車サービス提供車両は、8年も経たずに廃車にしなければならない可能性があるということになる。

 北京のタクシー運転手がやる気を無くしている原因は、罰金や廃車の危険性のほかに、ホイールベースや排気量などにも規定があり、それらを満たした車両が配車サービスを提供するのは少々「割に合わない」からだという。

 魏さんは、「配車サービス会社からの売り上げの20%が差し引かれ、ガソリンも保険もすべて運転手の自己負担。あまり儲からない」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News