生きたまま焼かれた…ギリシャ山火事、死者81人に 新婚旅行の外国人も
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【7月26日 AFP】海に逃げた隣人は生きたまま焼かれた──。ギリシャの首都アテネ近郊を襲った大規模な山火事。命からがら避難した住民は生死を分けた行動を振り返り、声を震わせた。死者は25日までに81人に増え、ギリシャ史上最悪の火災となった。新婚旅行中だったアイルランド人の男性が巻き込まれて死亡したことも明らかになった。
23日夜に発生した火災ではアテネ周辺の複数の松林などが焼け、市の北東40キロに位置する沿岸リゾートのマティ(Mati)では数百人の住民や観光客が着のみ着のままで逃げ惑った。住民らは猛烈な炎と横殴りの風に翻弄(ほんろう)され、生きるか死ぬかは自然の残酷なくじで決まった。
キリアキ・アレクシアドゥ(Kiriaki Alexiadou)さん(62)は火が迫ってきた時、孫を連れて車まで走り、安全な場所に避難した。しかし、海辺に徒歩で向かった近所の住民たちは生きたまま炎に包まれた。
「木の松ぼっくりが焼けるなかを私たちは車に向かって走りました」。アレクシアドゥさんは涙をこらえながら、黒焦げ骨組みだけになった隣の家を指差した。
「女性警察官が住んでいらしたんです。彼女は夫と2人の子どもと歩いて海に逃れようとしたのですが、炎の壁で身動きがとれなくなってしまって」
一方、テオドロス・クリストプーロス(Theodoros Christopoulos)さんは、家の周りに煙が立ち込めるなか、待機するか海辺に逃げるかの決断を迫られた。「その場には私たち5人がいました。私は家の中に戻ろうと言いました。そして、アルミ製のシャッターを下ろしたんです。あとはなるようになるという覚悟でした」
クリストプーロスさんは運に恵まれた。自宅はおおむね被害を免れ、中にいた5人全員が助かった。
英メディアによると、新婚旅行でマティを訪れていた若いアイルランド人夫婦も火災に巻き込まれた。乗っていた車が火にのまれ、夫が亡くなった。妻は近隣のビーチまで逃げ延び、病院でやけどの治療を受けているという。
消防当局は25日、今回の火災の死者が81人と、2007年にあった火災による死者77人を上回り、国内で過去最悪になったと明らかにした。行方不明者の数は現在も特定できていない。(c)AFP/Sophie MAKRIS