トルコ大統領のエジル支持、独政界はEURO誘致の駆け引きと非難
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【7月26日 AFP】トルコにルーツを持つドイツのサッカー選手、メスト・エジル(Mesut Ozil)のドイツ代表引退をトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領が支持していることに対し、ドイツの政治家からは、2024年の欧州選手権(UEFA Euro 2024)誘致を有利に進めようとしているだけだとの非難の声が上がっている。
エジルが22日にドイツ代表からの突然の引退を表明し、ドイツサッカー連盟(DFB)のラインハルト・グリンデル(Reinhard Grindel)会長から人種差別的な扱いを受けたと告発した問題は、国内外で大きな騒動を巻き起こし、週明けにはエルドアン大統領らがエジルの姿勢を称賛する考えを示した。
しかしドイツ政府の中からは、トルコ側の行動は欧州選手権の誘致をにらんだ駆け引きではないかという声が上がっている。2024年の欧州選手権の誘致は、ドイツとトルコの一騎打ちとなっていて、開催地は9月27日の欧州サッカー連盟(UEFA)総会で決まる見込みとなっている。
こうした状況について、キリスト教民主同盟(CDU)から国会議員に選出されたこともある人物は、「DFBがUEFAの他連盟からの信頼を必要としている、まさにそのときに」エルドアン大統領が議論に割って入ってきたことは「本当に偶然なのだろうか」と指摘している。
別のCDUの重鎮も、「エジルとイルカイ・ギュンドアン(Ilkay Gundogan)の写真、そして今回の問題がどんなに気になっていようと、エルドアン大統領はドイツの事柄に干渉するのをやめるべきだ」とトルコからの横やりを非難している。
エジルとギュンドアンが英ロンドンで大統領と面会し、ギュンドアンが「私の大統領へ」とサインを入れたイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)のユニホームをプレゼントして以来、2人は政治も絡んだ騒動に巻き込まれている。
その後の2人はドイツ代表への忠誠心を疑われ、W杯ロシア大会(2018 World Cup)前の親善試合ではドイツのサポーターからブーイングを浴びた。そしてこの問題の影響が尾を引く中で、前回王者ドイツは本大会でまさかのグループリーグ敗退に終わるという失態を犯した。
ギュンドアンは、エルドアン大統領との面会に政治的な意図はないと明言している。しかし、エジルは2か月にわたって口を閉ざし続けた末、ようやく発したのがドイツ代表に背を向けるという言葉だった。(c)AFP