倉庫で見つけた「がらくた」にデ・クーニング作品が6点も!? 競売へ 米国
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【7月24日 AFP】米国人のアートディーラーがニュージャージー州の倉庫で「がらくた」だと思ったものを1万5000ドル(約170万円)で買い取った時、それが生涯最高の取引になるかもしれないとは想像もしなかった。
しかし、ニューヨークでギャラリーを経営するデイビッド・キレン(David Killen)氏は今、その中にあった6枚の絵画は非常に価値のあるオランダ出身の芸術家ウィレム・デ・クーニング(Willem de Kooning)の作品だと確信している。
過去に落札されたデ・クーニングの作品で最高額を記録したのは、2016年に競売大手クリスティーズ(Christie's)で出品された大型の作品「無題25(Untitled XXV)」で、6630万ドル(約74億円)。2015年にも競売にかけずに3億ドル(約330億円)で売却された作品があると伝えられている。キレン氏にとってさらに幸運なことに、スイスの画家パウル・クレー(Paul Klee)の作品も同じ倉庫から見つかったという。
これらの作品は1986年に死亡した著名美術修復家のオリン・ライリー(Orrin Riley)氏のスタジオから来たものだという。ライリー氏は死後、所有した全ての絵をパートナーのスザンヌ・シュニッツアー(Susanne Schnitzer)さんに託していたが、スザンヌさんも交通事故で2009年に死亡した。
スザンヌさんの遺言執行者はこれらの絵を所有すべき人物を何年も探していたが、同州の街ホーホークス(Ho-Ho-Kus)の倉庫に置かれたままにされた約200点の作品は自分のものだと名乗り出る人は出なかった。
AFPの電話取材に応じたキレン氏は、ある別の競売会社はこれらの絵を受け付けず、本当にがらくたの山だと思っていたと答えた。「すべての作品が箱に入っていた。『よし、これに1万5000ドル払おう。いちかばちか賭けてみるよ』と言ったんです」。
キレン氏は、自身が2週間ごとに開いているオークションにこれらの作品も出品して行こうと考えていたと明かした。そして箱を開けるとデ・クーニングのものと思われる作品が入っているのを見つけた。作品に署名はなかったが、ニューヨーク州ロングアイランド(Long Island)を拠点とする美術修復家で、ライリー氏やデ・クーニングと一緒に仕事をしていたこともある人物もまさにデ・クーニングの真作だと判断したという。
「彼は震えていました」とキレン氏。「彼は『まさにデ・クーニングが1970年代に次々に製作した作品だ』と言ったんです」
美術修復家のローレンス・カスターニャ(Lawrence Castagna)氏はAFPの取材に対し、あくまで個人的な見解だとしつつ、紙に油彩で描かれたこれら6枚の絵画は「絶対に」デ・クーニングの作品だと信じていると述べた。「正直なところ、この発見には圧倒された」
カスターニャ氏はこれらの作品に「わずかな修復」を施したものの、ほとんど発見時の状態のままで売却されるという。これらの作品が公共の場で公開されるのはおよそ35年ぶりで、注目を集めるとみられる。キレン氏は24日にパーティを開き作品を公開する予定。同氏は今年から来年1月にかけて競売に出品すれば1万~1000万ドル(約110万~11億円)の値が付くと予想している。(c)AFP