【7月22日 AFP】イスラエル軍は22日、シリアで負傷者の救助活動に当たるボランティア団体「ホワイト・ヘルメット(White Helmets)、正式名称:シリア民間防衛隊(Syria Civil Defence)」のメンバーおよそ800人とその家族らをヨルダンに避難させたと明らかにした。

 イスラエル軍のラジオ局によると、シリア南部へのシリア政権軍の進出によりホワイト・ヘルメットのメンバーたちに危険が迫っており、米国と欧州諸国からメンバーらを退避させるよう要請があったという。一方、ヨルダン政府は今後メンバーらを英国、カナダ、ドイツに移送すると発表した。

 2013年に結成されたホワイト・ヘルメットは救助隊のネットワークで、シリア反体制派支配地域で空爆などによって負傷した民間人の救助に当たってきた。

 イスラエル軍によると、同軍は米国と欧州諸国からの要請とイスラエル政府からの指示を受け、ホワイト・ヘルメットのメンバーらとその家族を避難させる「人道的取り組み」を実施したという。

 さらにイスラエル軍はツイッター(Twitter)への投稿で「例外的な人道的行為」だとしつつ、「人命に差し迫った脅威により、シリア南部の戦闘地域から民間人を避難させた」と表明。詳細には触れなかったものの「民間人らは後に隣国へと移送された」と明らかにした。

 また、イスラエル軍は「イスラエルはシリアの紛争に関して不干渉の立場を取っており、シリア領内におけるすべての出来事はシリア政府に責任がある」と強調した。

 イスラエル政府はこれまでゴラン高原(Golan Heights)のシリア支配地域から逃れた民間人に対し、救援物資を届けている。イスラエルは1967年の「六日戦争(Six-Day War)」で面積1200平方キロのゴラン高原をシリアから占領し、後に併合したが、国際社会はイスラエルによるゴラン高原の占領を認めていない。(c)AFP