オーストリア極右政治家、ユダヤとイスラムの食肉処理規制を提言
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【7月20日 AFP】オーストリアの極右政党に所属する州政府の閣僚が、ユダヤ教徒とイスラム教徒による儀式的な食肉処理法について、動物の権利の観点から登録制などを含めた規制の強化を提言している。
オーストリアでは昨年12月、反移民を掲げて総選挙に勝利した中道右派の国民党(OeVP)と極右の自由党(FPOe)の連立政権が誕生し、国政を担っている。
自由党員でニーダーエスタライヒ(Lower Austria)州の閣僚ゴットフリート・バルトホイズル(Gottfried Waldhaeusl)氏は、19日付けの日刊紙プレッセ(Die Presse)のインタビューで、ユダヤ教徒とイスラム教徒向けの食肉処理を減らすために登録制度が必要だと語った。
同氏はかねて動物の権利の観点から、意識のある動物の食肉処理を減らしたいと訴えている。
オーストリアのユダヤ人団体IKGは、ユダヤ教の戒律・慣習に従った食肉処理を取り締まるために動物愛護を理由にするのは「こじつけ」に過ぎないと指摘した。
IKGの職員の一人は匿名で、「この慣習を悪と決めつけるのは、少数派を悪とするやり方だ」とAFPに語った。
イスラム団体IGGOeも、イスラム教の戒律にのっとりハラル認証を受けた肉に影響を及ぼすこの提案を「受け入れられない」としている。
自由党は1950年代に、ナチス・ドイツ(Nazi)の元党員によって設立された。しかし近年はイメージの刷新を模索しており、同党はあらゆる過激思想を拒絶すると党首が明言している。
しかし昨年12月に政権入りしてからというもの、自由党は何度も物議を醸してきている。1月には、州選挙への同党候補が卒業した学校の同窓会がホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)を茶化す歌の歌集を出版していたことが明らかになり、出馬を辞退。
3月には、メッセージサービス「ワッツアップ(WhatsApp)」上でアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の写真や言葉を共有した地方議員2人を除名した。これらの騒動を、同党が過激主義を排除できていない証拠だと批判する声も出ている。(c)AFP